色の使い方の基本:インテリアの基調となる「ベースカラー」をもっと知ろう
空間に使われている色の約7割を占め、全体の基調となる「ベースカラー」。心地よいバランスの部屋をつくるために、おすすめのベースカラーや空間別の選び方をご紹介します。
インテリアに使う色それぞれが与える印象や、色どうしの対比効果など、色自体の特性を知ることに加え、部屋全体に占める色の「分量」に着目して、バランスのよい空間をつくる方法も知っておくと、住まいの色を選び、使いこなすのがさらに上手になります。そこで今回から3回にわたって、インテリアの色の配分の基本的な3要素である、ベースカラー、アソートカラー、アクセントカラーについて取り上げていきます。
部屋の基調となるベースカラー選び
床、壁、天井と、大きな面積を占めるベースカラー。実際にはその全部をまったく同じ色や材質で揃えることは少ないと思いますが、トーンや色を揃えることで、部屋の印象を大きく左右する基調色の働きをします。天井や床などは特に、一度決めるとその後なかなか手を加えない部分のせいか、日本の住宅では個性の強い色よりも、どんな色とも合わせやすいカラーを選ぶことがほとんどです。とはいえ、ベースカラーは無難で単調な色ばかりとは限りません。次に、ベースカラーのいくつかの例と、その特徴を挙げていきます。
床、壁、天井と、大きな面積を占めるベースカラー。実際にはその全部をまったく同じ色や材質で揃えることは少ないと思いますが、トーンや色を揃えることで、部屋の印象を大きく左右する基調色の働きをします。天井や床などは特に、一度決めるとその後なかなか手を加えない部分のせいか、日本の住宅では個性の強い色よりも、どんな色とも合わせやすいカラーを選ぶことがほとんどです。とはいえ、ベースカラーは無難で単調な色ばかりとは限りません。次に、ベースカラーのいくつかの例と、その特徴を挙げていきます。
人気のベースカラー、それぞれの特徴
- 広く見えて応用のきく、ホワイトや明るいベージュ
- クールでスタイリッシュ、美しい陰影のグレーやネイビー
こうしたダークな色をベースカラーに取り入れると、家具やグリーン、アートなどのインテリア要素がぐんと引き立ちます。明るい色のように広さを感じさせる効果はありませんが、光が当たったときのグラデーションがきれいなのは、暗い色だからこその魅力です。窓から入る昼の陽光だけでなく、夜の照明の光でも美しい陰影をつくり出してくれるでしょう。黒に近い色は気軽に取り入れにくいかもしれませんが、実はとてもスタイリッシュに決まる色です。
- 高級感と落ち着きを与える、茶系やミディアムトーン
ブラウンやナチュラルな印象のニュートラルカラーは、床、壁、天井のどの要素でも使いやすく、同じ空間に置く家具やカーテンが鮮やかな色でもベーシックな色でも似合うのが特徴です。今は素材によって赤み、黄み、紫みを帯びたブラウンなど、ニュートラルカラーにも豊富なバリエーションがあるので、アクセントになるものと色系統と合わせてコーディネートすると、より上質な統一感のあるインテリアをつくることができるでしょう。
- 受け入れやすい色、グリーンを代表とするアースカラー
ベースカラーでゾーン分け
面積の広い場所に使う色であるという特性を活かし、空間の目的や機能に合わせて、ベースカラーで色分けしてゾーニングをする思いきった方法もいいでしょう。
写真の事例では、ダイニングの床と、階段の壁のちょうど裏側にあたる部分の壁全面が黄緑色に、その壁を隔てた階段のスペースは全面、赤でペイントされています。憩いの場らしい穏やかな色のダイニングと、駆け上がりたくなるような元気な色の階段スペースをはっきり分けることで、その場にもたせたい機能や目的が明確になっています。人間の視線は天井よりも床の方に行くことが多いため、床に目立つ色を入れると、とても印象が強くなります。
他にも、眠りを誘うブルーやパープルのような色を寝室のベースカラーとして床、壁、天井に施したり、会話が弾む穏やかなイエローのような色をリビング全面に取り入れる手も。それぞれの部屋をベースカラーで色分けすれば、部屋から部屋への移動が楽しくなりますし、空間に変化をもたらすこともできます。写真の黄緑と赤のように、色の違いが大きければ大胆な印象になり、黄緑と青緑のような同系色なら、印象の変化は少ないですが、それでもゾーニングの機能はじゅうぶんに果たせます。
面積の広い場所に使う色であるという特性を活かし、空間の目的や機能に合わせて、ベースカラーで色分けしてゾーニングをする思いきった方法もいいでしょう。
写真の事例では、ダイニングの床と、階段の壁のちょうど裏側にあたる部分の壁全面が黄緑色に、その壁を隔てた階段のスペースは全面、赤でペイントされています。憩いの場らしい穏やかな色のダイニングと、駆け上がりたくなるような元気な色の階段スペースをはっきり分けることで、その場にもたせたい機能や目的が明確になっています。人間の視線は天井よりも床の方に行くことが多いため、床に目立つ色を入れると、とても印象が強くなります。
他にも、眠りを誘うブルーやパープルのような色を寝室のベースカラーとして床、壁、天井に施したり、会話が弾む穏やかなイエローのような色をリビング全面に取り入れる手も。それぞれの部屋をベースカラーで色分けすれば、部屋から部屋への移動が楽しくなりますし、空間に変化をもたらすこともできます。写真の黄緑と赤のように、色の違いが大きければ大胆な印象になり、黄緑と青緑のような同系色なら、印象の変化は少ないですが、それでもゾーニングの機能はじゅうぶんに果たせます。
コンパクトな空間は大胆なベースカラーで遊ぶ
トイレのような狭い空間は、大胆なベースカラーを使って思いきり遊んでみるのもおすすめです。鮮やかな色を壁に使うだけで、個性的な空間に仕上がります。
トイレスペースの全部がカラフルだとわずらわしく感じるのでは、と心配になるかもしれませんが、ありがたいことにトイレや洗面台は、ホワイト系のシンプルなデザインが多いですね。従って、どんなに派手なペイントカラーや壁紙を使っても、この白がよい「息抜き」となってくれるのです。ベースカラーで冒険をするには、とっておきの場所といえます。
トイレのような狭い空間は、大胆なベースカラーを使って思いきり遊んでみるのもおすすめです。鮮やかな色を壁に使うだけで、個性的な空間に仕上がります。
トイレスペースの全部がカラフルだとわずらわしく感じるのでは、と心配になるかもしれませんが、ありがたいことにトイレや洗面台は、ホワイト系のシンプルなデザインが多いですね。従って、どんなに派手なペイントカラーや壁紙を使っても、この白がよい「息抜き」となってくれるのです。ベースカラーで冒険をするには、とっておきの場所といえます。
屋外とつながる空間のベースカラー
ベースカラーはインテリアだけではありません。半屋外空間であるバルコニーなどでも活躍してくれます。
緑の多い外の景色となじませたいなら、写真のようにウッドベースで、また南国のようなさわやかさを演出したいなら、青空との対比が美しい白い壁やタイルで彩ってみては。特にバルコニーはインテリアとつながっている場所なので、バルコニーの床や壁面にもインテリアのベースカラーと同じような色を使うことで、空間がより広く感じる効果を得られるでしょう。
ベースカラーはインテリアだけではありません。半屋外空間であるバルコニーなどでも活躍してくれます。
緑の多い外の景色となじませたいなら、写真のようにウッドベースで、また南国のようなさわやかさを演出したいなら、青空との対比が美しい白い壁やタイルで彩ってみては。特にバルコニーはインテリアとつながっている場所なので、バルコニーの床や壁面にもインテリアのベースカラーと同じような色を使うことで、空間がより広く感じる効果を得られるでしょう。
ベースカラーを変えることの効用
床、壁、天井は、冒頭に触れた通り、一度住んでしまうとなかなか手を加えない場所かもしれません。何年も何十年も同じベースカラーの中で過ごすのは安心できる反面、飽きてきてなんとなく気分が停滞してしまう恐れもあります。住まいに新鮮な空気を取り込むように、ベースカラーもライフスタイルや気分の変化に合わせて少しずつ変えていくほうが、ずっと楽しい生活を送れそうです。
今は壁面でも簡単で安価にDIYで変えられる時代です。ベースカラーをリアルタイムの自分になじむ色に変えていくことは、いつでも心からリラックスできるベースの場所を持っているのと同じです。ぜひ、住まいの色の歴史を重ねていくことを楽しんでみてください。
インテリアの色の配分のお話、次回は「アソートカラー」について取り上げます。お楽しみに!
こちらもあわせて
色の使い方の基本:隣り合う色で印象が変わる色の対比効果
色の使い方の基本:「トーン」って何だろう?
色のインテリア効果:エネルギーが湧き上がる生命の色「赤」
色のインテリア効果:コミュニケーションと団らんに最適な「オレンジ色」
色に関する質問募集中!
住まいの色の使い方について知りたいことがあれば、コメント欄で教えてください!
床、壁、天井は、冒頭に触れた通り、一度住んでしまうとなかなか手を加えない場所かもしれません。何年も何十年も同じベースカラーの中で過ごすのは安心できる反面、飽きてきてなんとなく気分が停滞してしまう恐れもあります。住まいに新鮮な空気を取り込むように、ベースカラーもライフスタイルや気分の変化に合わせて少しずつ変えていくほうが、ずっと楽しい生活を送れそうです。
今は壁面でも簡単で安価にDIYで変えられる時代です。ベースカラーをリアルタイムの自分になじむ色に変えていくことは、いつでも心からリラックスできるベースの場所を持っているのと同じです。ぜひ、住まいの色の歴史を重ねていくことを楽しんでみてください。
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インテリアにおいて、バランスのよいカラー配分を考えるときは、基本的に以下の3つの構成要素に分けることが多いです。
1. ベースカラー(基調色)
構造自体にかかわり、面積も大きな床、壁、天井などに使われる色。全体の約70%を占め、空間の印象を左右する基調のカラーです。写真では、ごく明るいグレイッシュなホワイトの壁や天井がベースカラーにあたります。
2. アソートカラー(従属色)
ソファやカーテン、大きめの家具など、全体の約25%を占める色です。写真では、ソファ、カーテン、カーペットが明るいベージュなどのニュートラルカラーで彩られており、これがアソートカラーにあたります。
3. アクセントカラー(強調色)
部屋の約5%の分量を占める色です。クッションやインテリア雑貨など、ごく小さな部分で表現する要素になり、写真ではイエローやピンクのファブリックがアクセントカラーです。
部屋における色の配分量を、必ずこの通りにする必要はもちろんありませんが、基本のバランスとして覚えておくとよいでしょう。今回はまず、この3つの構成要素のうち最も使う分量が多く、全体を整える基本となる「ベースカラー」について解説します。