平屋の家
定年退職したご夫婦（２人）のための住宅。杉板の味わい深い外壁、内部の厚みのある杉板、柱、梁といった部分の多くを地元の杉材等を採用している。平屋で限られた予算とうこともあったが、ドア、収納なども造作で仕上げている。片流れの形状を活かし、ＬＤＫは天井が勾配なりに傾斜していて、吹抜けを経由してロフトと一体的な空間となっている。ご主人の趣味のレコードを吹抜けのあるＬＤＫで楽しめるようにそのような天井高さ＋天井板による音の反響を意識して設計している。ロフトの窓からは付近の山並みが見え眺望が良いこともあり、普段は時折、習字の講師をしている奥様の創作（クリエイティブ）な場となっている。外部の庭は家庭菜園をご夫婦で楽しんでいるということもあり、南側にゆったりとした菜園スペースを確保している。天気の良い日は外部縁側で過ごしたり、近所の方との交流の場となっている。深い庇が豪雨や猛暑から室内を守り、適度に過ごしやすい温熱環境に調整してくれる役割を担っている。地域の気候や風土を考え、意匠的にはファサードの外壁に杉板を使う等、伝統的な佇まいに現代的なデザインを取り入れ、暮らしやすい住まいとしている。